ぶちぶち日記 -4ページ目

魂萌え! / 桐野夏生

穏やかでささやかに暮らしてきた平和な毎日が、ある日突然夫の死で破られた。 喪失を悲しむ59歳の敏子を、次々に襲う新たなショック。 大人になった子供のこと、夫の秘密、遺産相続、女の友情、老後の人生。 従順に夫に寄り添い従って生きてきた敏子は、これから一人で生きていけるのか。。。


ページを繰る手がとまらない面白さでしたが、同時につらくて仕方がありませんでした。 親の死は、いつかはくること。 自分がお先に失礼をしない限りは、確実に私の身にも降りかかってくることなのです。 父が先か母が先かわかりませんが、残された片親に、敏子と同じ思いは絶対にさせたくないと強く思います。 


さらに時がたてば、私自身が敏子の身の上になるのです。 こわい! こわいよー! 読んでいる時は、敏子の弱さに腹を立てたりしましたが、いざ自分だったら、もっとダメダメかもしれません。 そんな気がする。。。


桐野夏生によって、この先の人生の姿を突きつけられた気分です。 現実を見ろと、頬をはたかれた気がします。 凶器も死体も出てこないけれど、実に恐ろしい小説でした。 備えねば。。。

ロズウェルなんか知らない / 篠田節子

おそらく日本中いたるところにあるであろう、過疎の村。 出て行った若者たちを呼び戻す仕事も未来もないところ。 2030年には人口がゼロになるといわれた駒木野町の青年会が、ない知恵を振り絞った結果起きるさまざまなこと。。。


タイプの異なる登場人物が大勢でてきて、それぞれがそれぞれらしい活躍を見せてくれて、とても楽しめました。 物語の中は、楽しめる状況じゃないんですけれど。 どたばたしていながら、真摯な想いが伝わってきます。


産業も観光資源もない村の未来は、本当にどうなっていくのでしょうか。 郵政民営化で心細い思いをしているであろう田舎の人々を想像しながら読みました。

炊飯器でパン

ベーグルを作る材料で、ベーグルじゃないパンを焼いてみました。 違いは、焼く前に茹でないこと。 炊飯器で焼くこと。 醗酵時間を長くしたこと。


炊飯器での醗酵は、簡単だけど面倒くさいですねぇ。 お釜に生地を入れて、10分くらい保温し、スイッチを切ってから30分放置。 お湯を入れたボウルに小さいボウルに入れた生地を浮かせて濡れ布巾で覆うやり方や、オーブンの醗酵機能を使う方が気を遣わなくていいな。 


でも、焼くのは本当に簡単でした。 温度設定も余熱もタイマーもなし。 醗酵が終わってふんわりぷくぷくの生地をお釜に入れてスイッチポン。 あとはスイッチが上がるのをまつだけ。


出来上がったパンは、小麦のいい香りがする真っ白なパンでした。 ハイジの白パンって感じ。 底の部分だけがうっすらとキツネ色で、これまたいい感じ。 2個300円で買ったブルサンアイユのガーリックチーズをたっぷ~り乗せて食べました。 おいし~い♪ 


炊飯器でパンを焼くととっても簡単と聞いたのですが、却ってオーブンのほうが楽なような気がします。 でも、おもしろかった。 


今までに、ベーグルを4回焼いたのと、今回の合わせて5回だけのパン焼き体験ですが、パンを焼くのって意外と簡単なんですね。 そりゃ、プロのパンとは雲泥の差でしょうが、自分で焼いた焼きたてパンってなんだかとっても格別です。 家族も大喜びしてくれますし。 


パンが(一応)焼ける自分って、今までより遥かにパワーアップしたような気がします。 るん♪

夕方のスーパーで。

一人でとことこと歩いている幼児を発見しました。 親らしき姿がありません。 見ているとくるりと振り返ってハタと気付いたように周囲を見ています。 くりくりした、黒目がちの瞳をひたと私に向け、「ママ?」とつぶやきました。 「ママ?」


でた、迷子。 サービスカウンターへ連れて行こう。。。 「おいで、ママ探そうね」と手を差し出すと、小さな手が私の親指をキュッと握りました。 少し冷たい手。 触れている面積はとても小さいのに、そのぷっくりした触感と、つるりとした滑らかさに驚いてしまいました。 子供の手って、気持ちいい。。。♪


子供の頃、子供のいない叔母たちが、ほっぺたや手をすりすりすりすりしてくれた訳が解ったような気がします。 この手、離したくないなぁ。


じきにお母さんが見つかりました。 離れていく手。 ざんねん~。 もし、身近に子供がいたら、しょっちゅうなでたりつついたりして遊んじゃいそう。 けれどもし私が男性だったら、確実に変質者だと思われちゃうだろうな。 うん、女でよかった。 

がっくり

休館日なのに、はるばる図書館へ行ってしまいました。。。 とほほ。


コンピュータシステムが代わって、予約本の連絡がメールで来るようになったのはとてもうれしいのですが、「メール到着から1週間以内に取りに行く」という表現しかないと、期限が少し判りづらいのです。 同じ休館日でも、引取期限や貸出期限に変更がある場合ない場合があるからです。


メールは定型で出しているので無理かもしれませんが、個人別のページで、その本ごとに引取期限が明示されたらいいのになぁ。 貸出期限はちゃんと出せるんだし。 本当は、メール自体に本のタイトルや引取期限がでたらうれしい。 


図書館のシステムの設計って、ある程度お仕着せなんでしょうか。 図書館を本当に使う人が作ったとは思えない、思わぬ使いにくさを感じています。 やっと新着図書のページができたと思ったら、ジャンル分けもされずにずらずらっと1000冊近くが表示されちゃいます。 ガーデニングの本の下にミステリ、その下にうつ病の本。 カンベンして~。


一般的な観点からも、使いづらさが。 同じ新着のページで、「前のページ/次のページ」のボタンがリストの上部にしかありません。 縦にサーチして、さて次のページへ行こうと思ったら、わざわざ上へスクロールしなおさなくちゃなりません。 怒。


と、ここで拗ねてみても始まらないわけですが。 ご意見箱にいれてみよ!

チャーリーとチョコレート工場 [映画]

欲張りな子や、わがままな子は痛い目にあいますよー。 良い子には、良いことがありますよー。 笑いながらも恐怖を覚える、とても教訓的なお話。。。と思いきや、随所に光る教訓的じゃないエピソード。 え、ゴールデンチケットは、そうやって手に入るのかぁ! 


しかし、細かい点の是非を問うより、やはりこの映画はまず素直に楽しんだ者が勝ち! キレキレにキレている天才ジョニー・デップ演じる天才ウィリー・ウォンカ氏の、目つき手つきシワつきに目を奪われ、流れ落ちるチョコレートの滝に息を呑み、ウンパ・ルンパ族の歌と踊りに思わずノセられる。。。 2時間が1時間に感じる至福の時でした。


ところで、お茶目なジョニデの表情を見ていて、なんとなくデジャブを感じていたのですが、今解りました! 「アメリ」でオドレイ・トトゥがいたずらをした後にみせる笑みに通じるものがあるような。 いじわるな八百屋を成敗する、大人になりきれないアメリと、気に入らない子供をどんどん追い払っていく実は結構コドモなウォンカ氏。 似ていませんか?


ロアルド・ダールは「あなたに似た人」しかよんでいなかったのですが、原作を読んでみたくなりました。 子供向けの本なので、そのうち原書にも挑戦してみたいな。

謎の差し入れ

30mくらい離れた家の奥様が突然玄関のベルを鳴らされました。 道ですれ違いつつご挨拶するだけの、初老の上品そうな方です。 家族が応対しました。


「お渡ししたいものがあるの」
そういった彼女が差し出したのは、少し遠くのスーパーの透明なレジ袋。 中からオレンジの縞模様の紙包みを出して、「値段がついててごめんなさい。 このお肉でしゃぶしゃぶをして召し上がってくださいな♪」とおっしゃったそう。 開けてみると、一枚づつシートに貼り付けた上等なお肉。 他に生姜、にんにく、青ネギ、しいたけ(すべて国産)が入っていて、「にんにくと生姜を炒めてチキンスープを入れて」と、作り方を説明してくれたのだとか。 


なにゆえ?
特別お世話をしたことがあるわけでなし、家族に美男美女がいるでなし、何かを差し上げたことがあるでなし。 けれど今までにも何度か、「お嬢様に」とお菓子の詰め合わせを戴いたことはあるのです。 プレゼントされたけれど甘いものは食べないから?と不思議に思いつつ戴いていたのです。 けれど、今回のは明らかにわざわざ購入したと思われます。 〆て数千円分。 なぜ? なぜ? うれしいたべたいけどちょっとこわいよ。


でも、早速ごちそうになりました。 何せ生もの。 それにしても、スパイスを炒めて作るしゃぶしゃぶなんて、初めてです。 おいしいんでしょうか。


おいしいんです。 肉を食べる時には特別感じないけれど、ねぎや白菜を食べる時に、ふっといい香りがします。 ポン酢醤油で食べたのですが、微妙にまろやか。 いつもより体が暖まった気がするし、腹持ちがいいような。 気に入っちゃいました。


ああ、それにしても気になる。 近々家族が山形へ行くので、りんごをおみやげに差し上げようということになりましたが。。。 

空耳アワワ / 阿川佐和子

ああ、おもしろかった。 軽快な文章で次々に綴られる、喜怒哀楽に満ちたよしなし事に抱腹絶倒です。 


今の若者の好きな歌には、「歩く」シーンがたくさん出てくる。 自分の頃は駅や空港だった。 その前の世代になると船なんかがでてくる。 そんな発見から始まる章がありました。 世間や世代間のことをいろいろぼやきながらも、ちいさな良いところにもちゃんと目をむける著者が好きです。 


自分を笑い飛ばしながらの独立独歩、見習いたいなー。

さよならバースディ / 荻原浩

おもしろそうな導入部と、かわいらしいボノボのバースディに引っ張られてどんどん読みましたが、肝心の事件が起きてからがいまいちのれませんでした。


バースディがとてもいきいきと描かれているのに比べ、人間の気持ちが単純に描かれすぎているように思えます。 真面目で純粋な学者が主人公である弊害でしょうか。 いい人なのはわかるけれど、面白みに欠け意外性もありません。 


タイトルからおよその結末は想像がつくし、真相もわかるけれど納得しきれない微妙な感じ。 山本周五郎賞受賞第一作を出さねば!と焦ってしまったのでしょうか。 荻原浩ならもっとうまく書けるはず(えらそうに!)だと、惜しい気持ちです。

パンツの面目ふんどしの沽券 / 米原万里

1960年代のプラハの学校で、はじめての裁縫の授業として著者が習ったのは、なんとパンツの縫い方だったそうです。 平面のぞうきんより先。 ソ連の影響下にあった当時のプラハで、なにゆえにパンツを縫えるようになることが率先されたのでしょうか。 


当時見聞きした下着に関するさまざまな疑問を糸口に、「ガセネッタシモネッタ」の米原万里があれこれ書物に当たってゆきます。 下着に関する現代人のあらゆる固定観念を覆す調査の数々。 軽妙な語り口で吹き出しながら読みました。


たかが下着なれど、調べてみればあまりに奥深く歴史も深く、真実もわからぬまま、後半は文献からの引用がメインとなり、少々面白みが減じてしまいます。 けれど次々にでてくるトリビアの数々は掛け値なしにおもしろいのです。 前半の、特に東欧の人々の社会構造から切り込んだ下着に関する考察や、恥じらいの観念についての著述には、何度うなったことでしょう。 


ところで、1つ疑問が残りました。 子供の頃からの疑問ですが、文中でも触れられています。 日本にも、昔からズボン様の衣服があったにもかかわらず、何故動きの不自由なキモノが(文中ではスカート)着られてきたのか、ということです。 いつか、この疑問について明らかにする本を書いて欲しいものです。