ぶちぶち日記 -5ページ目

蒲公英草紙 常野物語 / 恩田陸

私が恩田陸を好きなのは、「光の帝国」を書いたから。 そのシリーズ第2作です。 涙と鼻水でぐちょぐちょになりながら読みました。 「蒲公英草紙」を書いてくれたから、やっぱり恩田陸が好き。


「Q&A」「ユージニア」はあるひとつのことについて大勢がなす証言を積み上げる形で書かれています。 もしかしたら、この常野シリーズもスケールの大きな証言形式のようなものなのかもしれません。 様々な時代の様々な場面で現れる常野の人々をばらばらに書いていって、最後に壮大な全体像があらわれるのかも。 だとしたら、これは恩田陸のライフワークなのかもしれません。 読者も一生かけて読むことになるのかも。 それもいいなぁ。


ある作中人物の行動で泣きました。 行動そのものではなく、そこに至るまでの人生と想いにどうしようもなく泣きました。 ほとんど慟哭しました。 哀しいけれど幸せ。 想いが伝えられていくこと。 そしてそれを覆していくもののこと。


次作が読めるのは、いつなのかー!

2005年のロケットボーイズ / 五十嵐貴久

落ちこぼれ気味の工業高校の生徒が学校命令でキューブサットを作るハメに。 本当に作れるのか、はたまた退学か。。。


ストーリーはおもしろかったと思います。 が、主人公の独りボケとつっこみのような文章が多すぎてうんざりぎみだったのと、ご都合主義が多いことが鼻についてしまいました。 登場人物たちが個性豊かなのは良いのですが、豊かすぎるというか、マンガちっくというか。 多くの設定が現実から離れすぎた感があり、夢を求める物語というよりは夢物語になっている印象です。 おもしろいだけにもったいない気がします。 


ホーマー・ヒッカム・ジュニアの「ロケットボーイズ」の方が個人的には好みです。 比較するのもヘンですが。

おめでとう マリーンズ!

応援するチームを決めずに見るプレーオフの、なんと楽しいことか! どっちもがんばれ、どっちも負けちゃえ(?)と褒めたりクサしたりしながら見てました。 


第3戦9回裏から、萎みきったかにみえたマリーンズ。 しかし、今年の力がフロックでないことを証明する見事な勝利で優勝です。 心からの笑顔って、見ていて気持ちがいいものですね。 ライオンズを負かして喜ぶ今江の顔はコニクラしく思えたのですが(笑)、今日の笑顔にはつられてにっこりしてしまった。。。 


ひるがえってホークス。 的場の涙が胸に痛かったです。 城島の代役として、人一倍心が張っていたのでしょう。 実質3年連続優勝のはずなのに、2年連続で他人の喜びを眺めるハメになるなんて。 もしこれがライオンズだったらと思うと、やはりとっても気の毒です。 けれど逆に、もしホークスが2位だったら、やはり逆転優勝を目指して全力を尽くしたはず。 お互い心を切り替えて来年の勝利を目指しましょう。


現行の制度はいつまで続くのかな? シーズンの価値が下がるとはいえ、この2年のプレーオフはとても面白かったので、改良次第で良い制度になりうると思います。 アドバンテージをつけすぎて上位チームが有利になりすぎると、試合の緊迫感や面白さが薄れそうなので、1位チームが万全で試合に望める方法があるといいな、と思います。 やはりセパ取り混ぜてのプレーオフかな?


何はともあれ、千葉ロッテマリーンズ、おめでとうございます。 パ・リーグ代表として、タイガースを下せ!

鬼女の都 / 菅浩江

弟が海外挙式の計画をたてた時、参列を求められた私は海外ウェディングの分厚い雑誌を買ったのでした。 初海外の老いた両親にどんなところでどんな風に行われるのか参考にしてもらうためと、自分の参考と楽しみ(いくつになっても結婚式って惹かれませんか?)のために。 忘れましたけど、広告ばかりのわりに高かった記憶があります。


買って数日たった私の留守中、弟たちが打ち合わせに来て、雑誌に目を留め持ち帰ったそうです。 まだ読んでいないのに。。。 


次に彼らが来たとき、もう読んだ?と聞くとまだでした。 「買おうと思ったけど、高いから立ち読みで済ませていました。 おねえさん、よく買いましたねー」という未来の義妹。 まあ、結婚するのは彼らだし、本当に必要な人が使うのが一番だと思い、「ゆっくり見ていいよ。 でも私も見ていないから、式後でもいいから返してね」と言ったのでした。 「早く見て返してチョ」がホンネだったわけですが。 買った当人が「まだ見ていない」と言えば、ありゃりゃと思って早めに返してくれると踏んだのです。 半年先の旅立ちよりは前に。 けれど、結局そのまま出発日を向かえたのでした。


帰国後すぐ、弟の家に集まりました。 思い出して「あれ、読んだ? 私まだみてないから」と言うと、二人は薄く笑うだけなのです。 もしや、失くした? 捨てた? けれど今更追求しても仕方がありません。 式は終わり、雑誌はもう必要ないのです。 残ったのは私の意地のみ(笑) なんか、悔しい?


出発前の時点で素直に、「読んでないから返して」と言えば良かったんでしょうね。 あとでぐじぐじ何年もたってから思い出したりするくらいなら。 でも、その時にはそれが精一杯だったのです。 異国から嫁入りする彼女に気詰まりな思いをさせないように配慮したつもりだったのです。 


長い前フリになっちゃいました。 作中、さかんに京都の人間の「仄めかし」について触れられており、読みながらどうしてもストレートに物が言えない自分について考えずにいられなかったのです。 


遠まわしに言うとか、仄めかすとか、現代ではあまり歓迎されません。 そういうことをする人物は、「肩が凝る」「疲れる」と敬遠されてしまいます。 「遠慮のいらない」「わかりやすい」人が歓迎されるのです。 


私も、人に面倒くさい思いをさせるのは本意ではないので、率直になるよう鋭意努力中です。 けれど、相手が抱いている言うに言えない気持ちを察してあげる努力も必要なのではないかと思うのです。 「そうだったの。 でも言わなくちゃ解らないわよ」と相手に言うより、「気付かなくてごめんね」と言いたいと思います。 


心にちくちくきたもので、ミステリとしてどうかとか、気にしないで読んでしまいました。 で、陶子と杳臣の関係ってなんだったのでしょう? 「仄めかし」で終わってましたね。

黒笑小説 / 東野圭吾

ブラックな笑いに満ちた短編集。 


出版業界(特に文学賞関係)を舞台にした作品がいくつか。 5度直木賞を逸している著者の気持ちは、果たして作中の作家のようなものなのでしょうか。 思うに、悔しさが無いことはないのでしょうが、どちらかと言えば周囲が期待する残念賞作家の姿に自分を重ねて笑わせてくれているのでしょう。 そのあたり、憶測だの邪推だのにまみれながら大笑いで読ませていただきました。
 重いものから超軽いものまで、東野圭吾の守備範囲の広さにはつくづく感服です。


他、「ストーカー入門」「笑わない男」「臨界家族」のラストにうなりました。 あり得ない話を描いているのに、ラストで浮かび上がるのは「ありそうな怖さ」なのです。 笑いが一瞬凍りました。 


なお、「シンデレラ百夜行」は、「百夜行」を読まずによんではイケマセン。

蝦夷拾遺 たば風 / 宇江佐真理

松前藩ゆかりの人々の物語が6篇。 最上徳内の帰郷のもの以外は、女性の心情が描かれています。 


離縁の条件として息子に課せられた100通の恋文に四苦八苦するちょっと微笑ましい「恋文」、藩の政変に巻き込まれる娘たちの健気さ哀れさが心に残る「血脈桜」、泣く泣く振り捨てた男に救われる女の心情を描いた「たば風」が印象に残りました。


宇江佐作品では、芯が強くたおやかに生きる女性が多くみられ、そこが魅力なのですが、今作での女性たちは少し違いました。心根は強くとも、時代の波には抗いようもないのです。 それでも覚悟を決めて生きる姿が哀しくも美しいと思います。 


最後の1篇「黒百合」のラストが、それでも新しい幕の始まりを感じさせてくれました。

ホットプレートを買いました

かれこれ20年以上使い込まれた我が家のホットプレート。 テフロンがヒーターの形にはがれ落ち、使うたびに焦げ付き大魔王。 焼くにも食べるにも片付けるにも、結構なストレスになっていたんであります。 で、ほとんど使わなくなっていました。


新しいの買おうね!と言い続けて3年以上。 各社各製品それぞれにウリがありずいぶん目移りしましたが、やっとamazon.comでタイガーのを買いました。 9800円でCPU-A130。 一時8800円だったこともあるようですが、ホームセンターや電器店をいくつかまわってもこれより高かったので、決定です。 8日昼にカゴに入れて、本日昼前に配達されました。 うれちい♪


プレートが数枚あるので、重さ9.5キロ。 重いです。 おまけにかさばります。 でも分量の割にはコンパクトだし、重いのを承知でたこ焼きプレートにこだわったのだから、文句は言いませんとも。


お昼に早速お好み焼きを作りました。 プレートから立ち上る熱気。 焼く楽しみと食べる期待でわっくわくです。 じゅう。 面積が今までの2倍近くあるようで、3人分がいっぺんに焼けます。 前は、フライパンで焼いていたのですが、大きいのを1枚焼いて分けて食べ、食べながら食卓とガス台を往復しながら次のを焼いていたので、とっても忙しかったのです。 のんびり焼け具合を見ていられるのって、いいなぁ。 楽しいなぁ。


ムラなく焼けて、焼き目がキレイ。 ホットケーキを焼いたら、さぞかしきれいにやけるでしょう。 あれもしたい、これもしたいと思いながらぱくっ! おいしーい。 楽しんで食べているからか、いつもよりずっと美味。 空いているスペースで塩胡椒味の鶏軟骨も焼いて、お腹一杯になりました。 


次は、タコヤキ焼くぞー!

2005 ラストゲームを終えて

目の前に試合がある限り、勝つために応援するのが本能なので、昨日今日の試合は本当に残念でした。 結果はどうあれ、ライオンズのシーズンは終わりました。 チームの皆さん、お疲れ様! 悲喜こもごもの1年間を共に過ごしてくれてありがとう。 今年を糧に、来年の勝利を期待します。


とはいうものの。 長い目で見れば、マリーンズの勝利で良かったと思います。 第2ステージに行ければやはり勝って欲しいし、その次は当然日本シリーズで全力応援です。 で、今年はその後にアジアカップだとかいうのがあるので、日本代表チームとして世界に出て行くことになったわけです。 日本の代表。 シーズンを負け越したチームが、日本の代表。 変すぎ。 代表チームとして戦うライオンズをとっても見たいけれど、それは今年じゃないのです。 なまじ第1ステージを勝ってしまうと、ジレンマが大きくなりすぎちゃいます。 


それにしても、本当に変です。 シーズン中は、1つでも多く勝つことが目標です。 5位より4位、4位より3位、3位より2位、一番の目標は当然1位です。 で、結果が3位だったらプレーオフ。 シーズンの成績がどうであろうと、出る以上は当然勝利を目指すのがスポーツ選手というものです。 まぁ、手を抜かなくたって、順当にいけば敗戦。 しかし短期決戦では必ずしも実力どおりの結果がでないのもよくあることです。 で、勝っちゃうと避難するこえがどこからか聞こえてくるのです。 消化試合を減らす効果はあるものの、根本的な矛盾をはらむ制度なので、もっとよく詰めていって欲しいものです。


さて、第2ステージはどう楽しみましょう。 とりあえずは応援するチームを決めず(いやだって、どちらの気持ちも解るから。。。)、純粋にプレーを楽しむことにしましょうか。 好チーム同士の良い試合が期待できるでしょう! 勝負の行方は野球の神様におまかせすることにして。

むかしのはなし / 三浦しをん

「桃太郎」「かぐや姫」などの昔話の核はそのままに、新しくアレンジされた7編の物語。 独立しているかにみえて、すべてが繋がっています。 意表をつく趣向で一本取られました。


昔話って、どこか残酷です。 原典そのままに漂う酷薄さが面白くも哀しくて、思わず遠い目になって余韻に浸ってしまいました。 たいていの登場人物が、人としてどうかと思える欠点を持っているのに、妙に愛しく思えます。 楽しんで終わりではなく、永く心にひっかかる小説でした。 特に「桃太郎」のモモちゃんの、不思議に大きく深そうな人柄がとても印象的。

優しい音楽 / 瀬尾まいこ

「優しい音楽」「タイムラグ」「がらくた効果」の三篇。 生活に突然闖入してくる人物が、共通の始まりです。 一風変わった闖入者たちがもたらすものは。


ちょっとありえない展開なのに、登場人物たちの心の動きにとても共感できてしまう瀬尾作品。 今作もまさにそうなのです。 非現実から、普遍を生み出し、読者の心を暖め一歩あゆませる。 平易な文章のどこにこの力が隠されているのでしょうか。 


人っていいな。 そう思わせてくれる甲乙つけがたい三作品ですが、強いて言えば「タイムラグ」が一番好きです。 自分が心に抱えている鬱屈としたある想いに、少し光が射したような気がします。


読んで、良かった!