魂萌え! / 桐野夏生 | ぶちぶち日記

魂萌え! / 桐野夏生

穏やかでささやかに暮らしてきた平和な毎日が、ある日突然夫の死で破られた。 喪失を悲しむ59歳の敏子を、次々に襲う新たなショック。 大人になった子供のこと、夫の秘密、遺産相続、女の友情、老後の人生。 従順に夫に寄り添い従って生きてきた敏子は、これから一人で生きていけるのか。。。


ページを繰る手がとまらない面白さでしたが、同時につらくて仕方がありませんでした。 親の死は、いつかはくること。 自分がお先に失礼をしない限りは、確実に私の身にも降りかかってくることなのです。 父が先か母が先かわかりませんが、残された片親に、敏子と同じ思いは絶対にさせたくないと強く思います。 


さらに時がたてば、私自身が敏子の身の上になるのです。 こわい! こわいよー! 読んでいる時は、敏子の弱さに腹を立てたりしましたが、いざ自分だったら、もっとダメダメかもしれません。 そんな気がする。。。


桐野夏生によって、この先の人生の姿を突きつけられた気分です。 現実を見ろと、頬をはたかれた気がします。 凶器も死体も出てこないけれど、実に恐ろしい小説でした。 備えねば。。。