ぶちぶち日記 -29ページ目

鷹姫さま / 諸田玲子


御鳥見役(将軍家の御鷹場を巡邏して鳥の生息状況を調べ、御鷹狩が滞りなく遂行されるように目を配るのが役目)の妻、珠世を主人公とするシリーズの3作目です。

密命(御鳥見役の裏の任務)を果たし2年ぶりに帰還を果たした夫は心に深い傷を負っているようだ。 父もまたその昔心身に傷を負って帰ってきた。 

心底案じながらも、いたずらに落ち込むことなく、笑顔を忘れない珠世が素敵です。 どん!と構えていて、懐が深いのです。 肝っ玉母さんです。 

今作では、父と夫の傷が見えてきます。 雪解けのように少しずつ癒されていく傷。 珠世が作る暖かな家庭が二人を癒していく様がうらやましくさえ思えてきます。 こんな女になりたいものです。 

また、二人の息子たちには恋の兆しが見えてきます。 家を継ぐ嫡男と、他家に養子にでなければならない二人ですから、この恋、一筋縄ではいかなそうです。 特に、男勝りで生一本な鷹姫さまが次にどうでてくるのか、わくわくします。

江戸時代版ホームドラマといったところですね。 NHKで北原亞以子の「慶次郎シリーズ」がドラマ化されましたが、このシリーズもドラマにはもってこいではないでしょうか。 配役を考えるのは楽しいものですが、源太夫役には是非渡辺徹を当てていただきたいなどと、夢想しています。 

今のところマンネリの気配もなく、次作がさらに楽しみとなりました。

鯛三昧

家族の友人から、鯛が送られてきました。

刺し身の柵が4本と、黒鯛(大きい!)が3尾、大きなビニール一袋分のアラ、カレイ2尾。

2柵はそのままわさび醤油で刺身として堪能しました。 2柵は薄めに切って鯛茶漬けに。 黒鯛の1尾を塩焼きにしてみました。 まるで漁師さんの食卓のようでしたよ! 

それにしても新鮮な魚というのはどうしてこんないうまいのでしょう! ぷりりとした歯ごたえと淡白なようでいて口腔に満ちる味に夢見心地です。 まれに見る集中力とめずらしく手を抜かなかった下拵えで、塩焼きもほっくりと焼きあがりました。 焼き魚とは、こうも香ばしいものであったか!(日頃の調理態度をちょっと反省)

残り2尾のうち片方は酒蒸しにして手作りポン酢でいただき、もう1尾はオリーブオイルとハーブと野菜で洋風にいただいてみようと思います。 カレイは丸揚げ(初挑戦)にしてあんかけにしてみようかな? わくわくするなぁ。。。

蛇の形 / ミネット・ウォルターズ

20年前のとある死の真相を追い続ける主人公の妄執。 事故死として扱われたその死を殺人と信じるその理由には納得がいきます。 しかし、単なる顔見知りの死の理由に固執するのは何故なのか。 真相究明を訴えて世間から総スカン状態となり、家庭も崩壊しかけ、海外に移住して20年。 どれだけ非難を浴びようと策をめぐらし突き進む原動力はどこからくるのか。 それが一番の読みどころです。

少しづつ調査が進んでいきますが、どれが真実なのか、誰がウソをついているのかよくわからないまま終盤へ突入します。 そして真相が暴かれるとき、主人公の暗い原動力も明らかになり、不可解だったその執念が腑に落ちるのです。

しかし、納得はするものの、主人公の調査方法が第三者の幸せを犠牲にする方法であることや、その手厳しさに気持ちよく読み進むことができませんでした。 作者は何故もっと共感しやすい主人公にしなかったのでしょうか。 人種差別や経済格差を重要な背景とした物語がその理由を語っていそうな気がするのですが、一読ではわかりませんでした。 いつか、再読してみたいと思います。

おもしろかった!のですが、つ、つ、疲れた~!

手作りポン酢のお味

10日に仕込んでおいたポン酢醤油。 本日の夕飯の主役です。 シンプルに、白菜と春菊とねぎと豆腐と豚肉だけの鍋でいただきます。 どうも、思っていたほどゆずの香りがせず、鰹節の香りのほうが勝っています。 いいにおいではあるけれど。 

いやぁー、おいしいです! 白菜やねぎの甘さ、豚のコク、春菊の香り、大豆の深みが引き立ちます。 たくさんつけても、しょっぱくない。 後を引く酸味。 私の筆では表現できません。。。 

お腹が一杯になってきたら、残ったお出しにご飯をいれて雑炊にします。 我が家は雑炊もポン酢醤油をたらしていただくのですが、今日はたらす量を減らして、漬け込んであった鰹節をのせてみました。 染み込んだポン酢がご飯にあう、あう。 冬の食卓の幸せです。

京都のベーグル

友人宅に泊まって、ベーグルをご馳走になってきました。 カフェで食べたベーグルではまってしまったそうで、みかけるベーグルを片っ端から食べたり、専門サイトで情報収集していたそうです。 そんななか彼女が憧れるにいたった京都のベーグル。 ものすごい人気で、通販も2~3ヶ月待ちだとか。 たかがベーグル、ではないというの。。。?

話を聞いてから2、3度食べてみたベーグル。 なるほど店によって随分違いがあるのですね。 普通のパンと食感が変わらないもの。 もちもちしたもの。 弾力のあるもの。 私はもちもちで弾力があるのが気に入りました。 さて、京都のベーグルはいかに?

もちもち弾力と天然酵母の香り~! なんておいしいんじゃー! 彼女は暖め方も心を込めてくれており、電子レンジでチンのあと、アルミで囲ってトースターで数分。 おかげで表面はぱりりとしているし、中はしっとりもちもち。 たっぷりの具でおかずもいらないほど。 上等なベーグルが、かくもおいしいものだったとは!

今、早速件のWEBショップへ行ってみました。 残念、昨日が発売日だったようです。 次はいつなの? なにがなんでも、買いたいわ。 

予約本が押し寄せてきた!

蛇の形 / ミネット・ウォルターズ(成川裕子訳)
誰でもない男の裁判 / A.H.Z.カー(田中融二訳)
くらやみの速さはどれくらい / エリザベス・ムーン(小尾美佐訳)
弁護士は奇策で勝負する / ディヴィッド・ローゼンフェルト(白石朗訳)
ロゼアンナ / マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー(高見浩訳)
鷹姫さま / 諸田玲子
夜の明けるまで / 北原亞以子
船宿たき川捕物暦 / 樋口有介
卵のふわふわ / 宇江佐真理
gift / 古川日出男
となりの用心棒 / 池永陽
僕たちの戦争 / 荻原浩

返却までに読みきれるわけがありません。 どの本を優先しましょうか。。。(ToT)

「卵のふわふわ」江戸時代のおいしいものがいっぱいでてきそうで予約したのですが、どうやら小説の模様。 他に、ホットケーキミックスを使って焼くパンの本も借りてきました。 速攻で見終わりました。簡単で、おいそう。 実際に作ってみて、おいしければ本を購入していろいろ作ろう! いつも、料理の本だけはあっという間に読み終える私。。。

ひたひたと / 野沢尚

野沢尚氏の未完の遺作です。 心に抱えた秘密と闇を告白しあう物語を編みながら、作者は逝ってしまいました。 氏の心は、解放されたでしょうか。。。

告白は意外性に満ち、ぐいぐい読めますが、同時に苦しいような不安が押し寄せてきます。 そして切ない。 愛と裏切りと傷と死。 描かれないままの告白が残念でなりません。 そして、1話目の最初に示された舞台設定がどのように生かされるはずだったのか、それも気になります。 

赤い霧 / ポール・アルテ

犯人がわかって一件落着。なのにページはまだ半分残っている。。。? 首を傾げながら読み進むと! わぁ、あの事件だよ! わぁ、あの人も特別出演だよ! おまけに扱いが。。。! 

前半、何か違和感を感じながらもどんどん進む話に身を任せていたら、その違和感が意外な方向へ着地しました。 「第四の扉」よりおもしろかったです。 ああ、感想がかきにくい本だこと!

火天の城 / 山本兼一

木を組むのが大工。人を組むのが棟梁の仕事。 総棟梁たる父を越えんと懸命の息子は、次々に降りかかる試練を乗り越えながら父の偉大さを知ってゆく。 

織田信長が命じる稀代の南蛮風天主はどのようにして建てられたのか? 棟梁父子を中心に、杣頭、石工、瓦大工などのプロフェッショナルたちが己の限界に挑戦するさまが圧巻です。 敵方の妨害工作に膨大な死者を出しながら建ちあがる美しくも奇怪な城。 しかしその城は、信長の死により数年で炎上し、この世から姿を消します。 まさに、夢まぼろしのごとくなり。 無常です。

現在発掘調査が進行中で数々の資料が発見されてた安土城。 資料の真偽、解釈などいろいろ議論され、復元案も複数あがっており、本書の内容を思い起こしながら読むと感無量です。 表紙の平面図と城の絵は、その復元図の一つとのことでした。(正直なところ、外観は美しいというよりやはり奇怪に感じました。どこか、信長という人に通じるような。)

犯人に告ぐ / 雫井脩介

ニュース番組に出演し、犯人に呼びかけ「劇場型捜査」をするという日本ではありえない話です。 しかしそこに登場するのはまさに血肉をもった人間たちでした。 

個人、組織、家族、手柄、左遷、欲望、罠、義務、隠蔽、愛情、犠牲、絶望、信頼、そして希望。。。 様々なことに翻弄されながらも進む捜査。 数年前の失策で身についた諦念とそれでも失わない自負を胸に、戦いを挑む巻島の姿が切ないのです。 味方は家族と一握りの部下だけ。 読んでいて苦しいほどでした。

事件の展開も意外性に富み、ぐいぐい読めました。 ドラマの原作にも向いていそうです。でもヘタなドラマ化ならしないほうがましですが。

今の所、この作者の作品は全部おもしろかったので、次作への期待がいやがうえにも高まってしまうのでした。