チャイナタウン / S.J.ローザン | ぶちぶち日記

チャイナタウン / S.J.ローザン

どこか毛色の変わったミステリでした。 中国系の若い女探偵リディアと、白人の中年探偵ビル。 それぞれ独立した事務所を持ち、手が足りない時にお互いを雇いあっている様子です。 お互いに好意は抱きながらも、ビルは願いとは別に強く押さず、リディアは強めのガードを固める微妙な距離感。 気持ちをさらりと口にしながら押し付けがましくないビルの口説きは読んでいて楽しい、というか言われてみたいと思ってしまいます。 中国人の考え方から、リディアの母親に嫌われている様子が会話から伝わり、それでもメゲないビルがけなげで仕方ありません。 リディアは、この関係をいつまでこのまま保つつもりなんでしょう?


中国人社会で起きた陶器の盗難事件を調査する過程で、生活習慣から考え方など、さまざまな違いが描かれて、とても面白く読めました。 痛めつけられたリディアを癒す漢方のガオ老人など、次作以降の登場を期待してしまいます。 リディアの語りからは、誇りや強がりや弱音が次々に飛び出し、女であることや探偵であること、中国人であることが彼女にとってどんなことなのか教えてくれます。  


謎解きの楽しさより、二人の個性をじっくりと楽しみました。 行く末も気になります。 シリーズになっており、交互に主人公となるらしいので、次はビルの内面を知ることができそうです。 楽しみ!